労働生産性と賃金との関係

さて、机の上で考えれば、生産性が上がれば、お給料も上がるはず。実際にそうなのか、インターネットの情報を検索してみると、話はそう単純ではなさそうなのです。

少し古いレポートではありますが、「AIへの期待と不安」でも紹介した「平成22年度(2010年度)年次経済財政報告(内閣府)」の内容が印象的でしたので、今日はその紹介をしたいと思います。

歯車がかみ合えば生産性は上がる

「生産性の上昇は賃金の上昇をもたらすか」という問いを立て、レポートは分析結果を次のようにまとめています。

1.労働生産性上昇率が高い国ほど、賃金の上昇率が高い傾向にある。

2.多くの国で労働生産性上昇率ほどには賃金が上昇しない傾向にある。

3.日本では、労働生産性上昇率と比べた賃金上昇率が特に低い。その理由として、経済に占める製造業の割合が高いため、新興国などとの価格競争等により、賃金の原資を十分に確保しがたいことが考えられる。

また、新陳代謝(廃業率)が高い産業で、労働生産性上昇率が高いという分析がされています。国内外の競争が激しい産業では、賃金を上げる前に、企業が存続できるかどうかが問われているという厳しい状況が伺えます。

そのような産業で働く個人の選択肢としては、①生産性が高く競争力のある会社に移る、②在籍企業の生産性ひいては業績を上げることに尽力する ということが考えられます。いずれも、企業に貢献できる実力が問われそうですね。

レポートでは、IT技術者や介護職員のデータによる労働生産性、賃金、離職率、求人倍率についての分析もあり、企業にとっては、生産性を上げて高い賃金を提供できれば、良い人材が長く勤めてくれるという好循環につながっているということがわかります。

レポートは正社員のデータによるものですが、IT技術者、介護職員のような専門職の非正規雇用求人では、職種に対して給与額が設定されていることが多いと思われます。経験があり技術力の高い非正規社員が、給与への不満から、正社員以上に定着しづらいという推測は、身近な経験からも的外れなものではないでしょう。

個人にとっては人材力アップのため、企業にとっては優秀な人材を確保するため、「労働生産性」というキーワードは重要であり、注目していきたいですね。