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キャリアコンサルティングの効果:社会編 ~経済が成長して生活水準が向上する?

「風が吹いたら桶屋が儲かる」と言いますが、「個人がキャリアコンサルティングを受けると世の中が元気になる」という研究結果が海外では報告されているとか。昨日紹介したJILPTの下村研究員のレポートに紹介されていました。

ヨーロッパでは、キャリアガイダンスが個人の進路やキャリア上の問題解決にとどまらず、国の経済に影響を与えるかどうかについて、研究テーマとして関心がもたれてきたということです。

街のにぎわい

その例としてHooley&Dodd(2015)の研究成果として、キャリアガイダンスの効果とその波及についての記述があります。以下に抜粋しますが、(1)から(4)の順に効果が波及していくのだそうです。

(1)個人的効果

(2)1次的経済効果(労働力率の増加、失業の減少、スキルや知識の増加、柔軟で移動しやすい労働市場の形成)

(3)2次的経済効果(健康の増進、犯罪の減少、税収の増加、社会保障費費用の減少)

(4)マクロ経済便益(赤字削減、生産性向上、生活水準の向上、経済成長)

個人的にメリットがあるから、キャリアコンサルティングを受けることを勧めるということではなく、企業や社会(国)にも長期的には効果が波及していくのだから、その気がない人にも広くキャリアコンサルティングを受ける機会を提供することが望ましい。そのような考え方を後押しする結果になっているということです。

社会的な課題の解決は、多くの施策が複合的に効果を上げた結果もたらされるように思いますが、その中にキャリアガイダンスが成功要因として位置づけられるのであれば、キャリアコンサルタントとしても仕事の励みになるというものです。

元の論文を確認して追加の情報があれば、またご報告しますね。

下村研究員は、ヨーロッパでの研究結果や議論が、日本でも同じように妥当であるかはわからないと慎重にレポートを終わっていますが、いま日本でも、労働力率や生産性の向上を狙いとして、キャリア支援策が積極的に打ち出されています。

たとえば、人材開発支援助成金には、キャリア形成支援制度導入コースとして、社員が定期的にキャリアコンサルティングを受ける機会を企業が制度化する費用を助成するコースがあります。

組織や社会の構成員である個人が生き生きと働ければ、企業にとっても国にとっても良い結果がもたらされると、普通に考えれば当たり前のことも証明するのは大変なことですね。


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